ロマンチックに欠く女
丁度教室の窓際の席。彼女のクラスが体育の授業を行っているのだ。種目はソフト。
しかし、2人1組でキャッチボール練習をするはずの彼女は、友達と組むことなく1人でグランドに佇んでいる。
そんな彼女は先生に報告するでも焦った素振りも見せない。
ただ、左手にグローブをはめ、何事もないように前を向いて立っているだけだ。遠くからであまりよく見えないけれど彼女の表情にも一切の変化がないように思えた。
そして俺の2つ目の理由がコレだった。
今まで俺に交友関係を語らないのは“語れない”からだと思っていた。でもそんなのはいくら俺でも大きなお世話だと分かるから聞けなかったのだ。
でも先日漸く彼女の口から友達と言う単語が出て来た。俺は、知らなかった悔しさと言うより嬉しかった。
そしてツンツンな彼女を懐柔させ、友人と言う地位にまで上り詰めたAさんに聞きたかった。
“彼女に取り入った方法は何ですか?”ってね。