ロマンチックに欠く女

分かってる。本当は、分かってるんだ。

俺は日向の先輩で、1年多く、学習しているんだから本来なら俺が日向に教えるための勉強会を開かなければならないってことを。でも、俺の彼女はなんと才色兼備。勉強に困ったことが無いらしい。まさしく非の打ち所がないのだ。


だけど、本当にここで諦めてしまったら、マジで本当にヤバイと危険信号が伝えている。夏休みを終えて、頑張って耐えて、真っ先に彼女に会いに行くとしよう。
たぶん彼女の第一声は『お久しぶりですね』でも、『ウザいです』でもない。そんな可愛らしいものじゃない。



『…あなた、誰ですか?』



絶対コレだ!コレに決まっている。もうこうなったら修復不可能じゃないか。せっかくここまでラブを積み上げてきたというのに。日向を落とすのにどれだけの労力を支払ったと思っているんだ。もう、こうなったら最後の手段を使うしかない。




「日向、了承してくれないと毎日家庭訪問するから」



「それ、ストーカー行為及び不法侵入で警察に通報しますよ」



「大丈夫、交番でも法廷でも日向は俺の愛する彼女だと宣言するから。証人も召喚するし。むしろ連れてって」




だって世間様にまで俺と日向の関係が伝わるってことだろ?
願ったり叶ったりじゃないか。
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