ロマンチックに欠く女
6、彼女さんと勉強会


照りつく太陽。澄み切った青空。生い茂る木々。

―――やはり夏というものは、素晴らしい。夏休みという、勉学を本分とする学生に彼女とイチャラブするための休暇を与えるシステムを発案した人は神様だと思う。俺にとっては愛の女神だ。

あれほど嫌だと思っていた夏休みは、彼女に毎日会えると思うと楽しみで仕方なかった。
結局は日向の家で勉強会を開くことになったのだが、荷物は何を持っていこうかとか、大人のアイテムはやはり常備すべきなのかとか迷った挙句、一応カバンの底に入れておいた。
何だか遠足1日前の小学生に戻った気分だ。

こんなにどこかへ行くのにワクワク(興奮)したことは久しくない。




「…やっぱり来たんですね」



そんな思考を繰り広げているうちに、早くも日向の家に着いてしまった。そして「いらっしゃい」でもなく、「暑い中お疲れ様です」でもなく、「待ってました」でもなく俺を迎え入れてくれた彼女は彼女らしいと思う。やっぱり夏休みで浮かれた発言なんてしてくれないよね。それこそ、夏の高気温で頭がおかしくなったかと疑ってしまう。

さっき待ち合わせ時刻の1時間前に行ったら追い出されたしね。やっぱり日向は日向だよ。
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