ロマンチックに欠く女
現在、彼女の部屋に居ます。
何だか日向の甘い花のような香りが鼻腔をくすぐるのですが、もうすでに理性との闘いに挑めと神様は仰っているのでしょうか。絶対そうですよね。
「お待たせしました。麦茶ですけどどうぞ」
「ありがとう。……日向の部屋って良いに……良い感じに片付いているね」
危ない。もう少しで日向にゴミを見るかのような目を向けられる所だった。断じて彼女の部屋が良い香りで包まれていてムラムラするだなんて絶対言えない。
「あまり人の部屋をジロジロ見渡すのってどうかと思いますけど」
「あぁ、ゴメンゴメン」
「で、さっさと終わらせましょう。課題の範囲はどこですか?」
凄い、世間話する隙もない。俺としてはもうちょっと粘りたいんだけど、彼女が俺の鞄からプリントを取り出そうとする姿に一気に覚醒し、彼女を制した。
…俺の鞄の中には“念のため”と入れておいた大人グッズがあるのだ。彼女に見られたら、これからの夏休み地獄を見ることになる。