”オモテの愛” そして ”ウラの愛”
「そうか」
祖父に視線を戻して、椅子に腰を下ろした。
「成介、5分間だけ時間をくれ」
部屋の隅にいる成介を、見もせずに言った。
決めることと、やることが山とある。
背後の綺樹の動く気配がし、成介や他の親族と共に出て行った。
廊下に出た綺樹は閉ざされたドアを見つめた。
涼は何を思い、語りかけているのだろうか。
きっかり5分で出てきた涼の表情はいつも通りで、成介に頷き、そのまま打合せに行ってしまった。