”オモテの愛” そして ”ウラの愛”
黙っていると、かかっている重みが増した。
寝てしまったらしかった。
祖父が死んでから今日まで、満足に眠れた日はなかったのだろう。
重さには閉口したが、そのままでいた。
涼の体で下敷きになっていない方の手で優しく、髪の毛に指をからませるようにしてなぜる。
涼が目を覚ますまではこのままでいるつもりだった。
途中で一度、座った姿勢でひねるように上体を倒しているのが辛いらしく、足もソファーの上にあげて、綺樹の足に絡ませた。
目を覚ましたのでは無く、無意識の動きだったらしい。
よっぽど疲れていたのだろう。
人を下敷きにしていては寝苦しいだろうに、結局、朝まで一度も目を覚まさなかった。