”オモテの愛” そして ”ウラの愛”
「ウルゴイティがシステム化し軌道に乗れば、ダバリードの仕事もできるようになる。
それがさやかの条件だった」
綺樹の表情が固まった。
「あの状況下で、さやかも粘った」
「本当?」
「定期的にウルゴイティに戻って、チェックや決済、当主としての仕事はしてもらう。
だが大抵の仕事は私が処理する」
綺樹はページの端を指でもて遊びながら、フェリックスを長い間見つめていた。
「なぜ、おまえはそこまでするの?
天才外科といわれ、そのまま医者でも問題なかったのに?」
「ふん」
しばらく綺樹はそのままで考えていた。