”オモテの愛” そして ”ウラの愛”
3.”なんでもない”からの結末
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この点は似ているよな、と思う。
自分も綺樹も、ふと思いついても、電話もメールもするタイプじゃない。
だからロンドンで別れてから、何もなかった。
このまま、再び綺樹と会うことはないかもしれないと思う程に。
それでも連絡をしようとはしなかった。
抜け出したかった。
綺樹を自分の中で“なんでもない”存在にしたかった。
自分を見失い、最低な男に成り下がるのは、もう御免だった。
自分には綺樹以前の男女関係で十分だった。
何人も関係がある女性はいても、彼女ではない。
特定の一人と深入りしない。
綺樹と出会い、過ごした時間を思い出さぬように、強硬的に目を逸らし、大学生としての新しい毎日を過ごしていた。