”オモテの愛” そして ”ウラの愛”

「私、だけど」


ちょっととまどっている顔。

落ち着いたアルトの声。

いつも通り胸にすとんと落ちる。

綺樹の声に部屋の中が静まり返った。

涼はしばらく動きが止まってしまった。


「鍵、持ってるだろ?」

「ああ、うん」

「じゃあ、入ってくれば」


なぜかつっけんどんな言い方になる。

涼は視線が集まっているのに気が付かず、そのまま玄関に歩き出した。
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