”オモテの愛” そして ”ウラの愛”

リビングに入ると静まり返っていた上、みんな酔いが醒めたようだった。

涼は綺樹を紹介しようとして、言葉に詰まる。

もの凄く説明が面倒だ。

綺樹はちらりと呆れたような視線を投げてから、ぐるりと見回した。


「こんばんは。
 綺樹・ウルゴイティといいます」


いくつもあるミドルネームは省略して、にっこりと笑う。

さすが場離れしている。


「えっと。
 彼女?」


篤志が涼を指して、綺樹を指す。


「いいえ」


綺樹はそっけなく答えた。
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