”オモテの愛” そして ”ウラの愛”
そうなると現れた理由が分からないだろう。
篤志は涼に視線を移した。
「ここ、彼女の家だ。
おれが居候しているだけ」
それはそれで色々な想像を呼ぶらしい。
涼はため息をついた。
「ああ、おいしそうだね。
涼、作ったの?」
綺樹は篤志に近づき、目の前にあった皿から、手抜きのベトナム春巻きを摘み上げた。
「今、サラダも作っている。
ドレッシング、しょうゆベースにするか?」
「うん。
しょうゆ、嬉しい。
機内食、食べなかったし」
綺樹は顔を上げて、側に立っている篤志と視線を合わせた。