”オモテの愛” そして ”ウラの愛”

酒の席だが、距離が近いだろうと言いたくなるし、触るなと言いたくなる。

綺樹の左右に座っている篤志と誠の行動が目に付いてしょうがない。

言う代わりにカップに口をつけるものだから、杯が進む。

綺樹を“ちゃん”づけで呼ぶのに、どう見たって柄じゃないだろう、と胸の内で罵倒する。

その上、麻美子が隣に座り、なにかと彼女面の言動をするのに、イラつきに拍車がかかった。


「11時だ。
 おまえら帰れ」


限界を感じて時計を確認し、怒鳴るように言うと、不満の声が上がった。
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