”オモテの愛” そして ”ウラの愛”
*
綺樹がここに来た理由は、美術展開催の為だった。
ほとんどがウルゴイティの所蔵らしい。
当主が来日して開催日前日のレセプションで挨拶。
その他諸々。
「なんだ、その他諸々って」
胡散臭そうに涼が聞くと、皇居で晩餐とか、と短く答えた。
「それがその他諸々か」
綺樹は首を傾げて考えた。
「そうだな、少し失礼だったな」
「おまえの社交、すっげー心配」
くすくすと笑っている。
軽口を叩き合う友人。
その関係が一番いいのだろうと涼は思っていた。
レセプションで綺樹の姿を見るまでは。