”オモテの愛” そして ”ウラの愛”
4.罠にはめる男

   *

フェリックスは階段を見上げた。

綺樹がゆっくりと上っている。

やがて上がりきると、右に曲がっていった。

その先は書斎だ。

フェリックスはため息をつくと、使用人が差し出していたコートを戻すように言い、階段を上がりだした。

フェリックスはこの屋敷で暮らさず、少し離れた街に家を借りている。

朝食を食べた後に出勤し、夕食を食べた後に帰宅する。

今夜もいつも通り帰ろうと思ったのだが。
< 70 / 241 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop