”オモテの愛” そして ”ウラの愛”
日本から帰って綺樹の仕事のペースは上がった。
“早急で強引なやり方は恨みと抵抗が強すぎる”
フェリックスは何度も言ったが、綺樹は肩をすくめるだけだった。
“どうせその的は私だ。
おまえが痛い目に会う事は無いんだから、心配することは無い“
その繰り返しだ。
更に朝、出勤してみると、昨晩途中だった仕事が終わっていることが何度もあった。
規則正しい生活を、綺樹に課しているはずだ。
“ちゃんと時間通り寝たんだろうな”と睨みつけると、しらっと“寝たよ”と返ってくるが、それで出来上がる量じゃない。
さっきも夕食の席で言ったばかりだ。