”オモテの愛” そして ”ウラの愛”

カーテンは降ろされ、照明も無く、薄暗かった。

何が始まるのかわかっていたが、フェリックスの性格から、ベッドにほおり出して終わりか、こちらの体を熱くするだけ熱くして、意地悪く去っていくのもありだと思った。

ベッドに落とされ、更に闇が濃くなったと思ったら、フェリックスが覆い被さっていた。

舌で耳をなぜ回され、顎の線を啄ばむようにくちびるが移動していく。

その間にシャツのボタンを外し終わったらしく、胸元に手が滑り込んできた。

フェリックスの手。

外見から、繊細な手のような印象を持っていた。

いつか仕事の時に気が付いて、眺めたことがある。

指は長いが、男性らしくがっしりとした手だった。

名声を轟かせた外科医の手。

だからかもしれない。
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