”オモテの愛” そして ”ウラの愛”

指の動きに綺樹は早々に声をもらした。

満足だったらしく、耳元を声を出さない笑いがくすぐった。

対決する気力までは無かったが、相手はできる。

それでか、フェリックスは途中で綺樹をほおり出すことはなかった。

意外にも綺樹が受け入れられる状態までちゃんとケアし、高みまで引っ張り上げる。

終わってまだ息が荒い中、綺樹は肌が重なり伝わってくる熱が消えるのに、心の中で身構えた。

フェリックスはすぐに汚物に対するかのように、身を引いて出て行くだろう。

だがまだ腕の中に囲われたままだった。
< 79 / 241 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop