”オモテの愛” そして ”ウラの愛”
少し離れて座っている三島瞬は、ばかばかしいと思いつつ、笑顔でそのやりとりを聞いていた。
ソファーに深く身を預けたまま、ワイングラスを傾ける。
チーズをつまもうとして、涼が黙々と食べているのに気が付いた。
いつもならば、関心が無い癖に、愛想いい態度で人の話を聞いているフリをしているのに。
あからさまな態度に、からかいたくなった。
「涼。
いくらおまえと正反対で理解できないからといって、少しは聞いてやれよ」
涼が箸を止めた。
「私、涼君だったら束縛されてもいい」
女の相反する発言に瞬は苦笑しながら、涼を見守った。
涼は瞬に視線を合わせたまま、皿に屈みこんでいた上体をゆっくりと起こした。