”オモテの愛” そして ”ウラの愛”
「それは。
愛情じゃないだろ。
そいつの人格疾患だ」
思わず出てきた涼のきつい言葉に、瞬は意外に思う。
「おいおい、それは言い過ぎじゃないかー」
誰かが揶揄する。
「愛情って軽い。
相手をそこまで束縛するなら、それはもう違うだろ」
駆け落ちまでして、愛していた女が産んだ子を平気で捨てる。
人間の愛情とはその程度だ。
だから。
自分が綺樹を強烈に独占しようとするのは、どこかおかしいのだ。
涼は視線を伏せた。