”オモテの愛” そして ”ウラの愛”

涼は冷たく見返した。


「おまえじゃあるまいし」

「おれの方が、一個先輩なんだけどね~」


静かな怒りの中にいる涼を、瞬は面白く眺めていた。

夜遊びで、その場にいた女性たちが同席になる場合は多い。

その時に、気が付くと一番いい女が既に涼に落とされているのに、悔しい思いを何度かした。

いつしか、どちらが先に落としているか、競争のようになっていた。

涼の方は競争とは全く捉えていないようだが。

それも癪に触るのだ。

瞬とその後の約束が成り立っていれば、あっさりと引く。

執着しない。
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