”オモテの愛” そして ”ウラの愛”

「誰からだ?」


フェリックスの冷静な声がした。

綺樹は椅子を正面に戻した。


「ん? 涼。
 結婚するんだって」


さらっと答えて、またディスプレイと向かい合う。


「結婚?
 よく条件に妥協したな」


フェリックスは正直、驚いた。

ロンドンの病院で会った時の瞳。

こいつは綺樹を絶対に離さないと思った。

無表情にキーボードを打っている綺樹を見つめた。
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