”オモテの愛” そして ”ウラの愛”
東京で何があったのか知らない。
綺樹の仕事の打ち込みようから、上手くいかなかったのはわかっていた。
ただ決して最後までも、あの男は綺樹を諦めないと踏んでいた。
その自覚があるかは知らないが。
なのに簡単に他の女を選ぶとは。
見誤っていたのか。
それともこれは綺樹の心理を追い詰めて、手放さない作戦か。
だが綺樹の立場上、これで反対に政略結婚をすると思わなかったのか。
婚姻に囚われないで関係を続けるつもりか。
全く読めなかった。
判断するに材料が少なすぎる。
蒼白で無表情な顔。
よりによって今のタイミングとは。