”オモテの愛” そして ”ウラの愛”
サラがロンドンから休暇で来ており、綺樹にはしばらく夕食もせずに帰ると告げたばかりだった。
その時、にやりと笑っていたが。
そんな笑いでも笑わないよりましだ。
このところ綺樹は表情が乏しかった。
以前のように、むっとした表情も、いたずらめいた表情も滅多にしなくなった。
どんな感情も自分の中に生まれることを排除しているようだった。
そしてひたすら仕事に邁進する。