正夢絵本


「吉野君、今日の考案会なんだがね…」


きた!!!
沙耶は表情に出さずとも、自然と身構えた。


「実は、今日急に他社の大手企業の上層部の方との約束が入ってしまってね。先方がどうしても今日がいいということで、今日の考案会に来ていただけるはずだった方々が皆来れなくなってしまったのだよ。だから今日の考案会は明日にする予定だから、よろしく。」


部長は言い終わると沙耶の肩にぽんっと手を起き、手帳を内ポケットに戻しながら自分の席へと向かっていった。
部長が離れたのを確認すると、中原がものすごい勢いでまだ少し放心状態の沙耶の体をゆすってきた。


「沙耶っ良かったじゃない!」


中原に声をかけられてようやく身構えていた体を解放した。
すると大きく息を吐き出した。


「……本っ当に良かったぁー……」


そう言うと椅子にがばっと寄りかかった。もう一度安堵の息を付く。
するとまたしても沙耶の体が徐々に透けていき、消えてしまったのだ。










ジリリリリリリリリン


「うーん……」


部屋中に騒がしい目覚まし時計のベルの音が響く。
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