正夢絵本
「はぁ…ただいまー。」
言ったところで返事が返ってくるはずのない部屋にそう言う。
部屋に入るとまず自分のパソコンが置いてある机へ向かった。案の定パソコンの上に資料が置き忘れたままになっている。明日は絶対忘れないようにすぐに鞄の中に押し込めた。
「よし!これで明日は大丈夫!」
鞄の中に入れられた資料を何回も確認してから鞄を閉めた。
その時、昨日貰って開いたままにしてしまったあの黒い本が目にとまった。
沙耶はそれを手にとると思わず我が目を疑った。
「なっ何よ…これ……」
昨日は何も書かれていなかったはずの白いページになんと文字と絵が書かれていたのだ。
しかし更に驚くのはその内容であった。
まず、8ページに
『沙耶はお腹が空きましたが、冷蔵庫の中にはまともな食材がないため食べる事が出来ません。しかたなくベッドに横になりました。(あーお腹すいたな……誰か食べ物持ってきてくれないかな〜コロッケとか食べたいな〜…)するとピンポーンとチャイムがなりました。ドアを開けるとお隣さんの関さんがいました。手にはなんとコロッケを持っています。そのコロッケを沙耶にあげました。沙耶は喜んでコロッケを食べました。』