正夢絵本
「じゃあそれって深い眠りについてないからでしょ?一回病院行って相談したら?」
「大丈夫。病院行って治るようなもんじゃないから。」
何が大丈夫なんだと言いたそうな中原を横目に、沙耶はアイスコーヒーを音をたてて飲み干した。
「大丈夫。後一週間内には治るから。」
根拠のない返事を返された中原はため息をつくとアイスティーを飲んだ。
喫茶店を出た後もう一社回ったが相変わらず沙耶の欠伸は止まらず、出そうになる度中原は沙耶を小突くかもしくは沙耶の足をヒールのかかとで踏んだ。
当の本人は小突かれる度に欠伸を我慢し、ヒールのかかとで踏まれる度に痛みに耐えた。
「沙耶!駄目でしょ他社来てるとき欠伸しちゃ!うち(会社)の印象悪くなるじゃない!!」
さすがに中原も呆れて沙耶を叱る始末となってしまった。
「本っっ当にごめん!でも本当にヤバい!倒れそう!」
あまりの眠気に立ったまま寝てしまいそうな勢いである。
「あーもう分かった。会社には私が報告に行くから沙耶帰っていいよ。」
中原がため息混じりで言った。