正夢絵本
「本当にごめん!」
「但し、家帰ったらさっさと寝る!分かった!?」
沙耶はこくこくと何回も首を縦に振った。
そしてありがとうと言いその場を立ち去ろうとした時中原に腕を掴まれた。
「それと、この借りは今度駅近くにできたホテルのケーキバイキングでいいからね。」
なかなか抜け目のない人だと改めて実感した沙耶であった。
沙耶は中原の取り引きに応じるとそのまま駅へと直行した。
「はぁ…まさかこんなに眠気に襲われるとは思ってなかったよ…」
やっとの思いで駅に着いた沙耶はホームで電車が来るのを待っていた。
駅に来る途中あまりにふらふらしていたので何人かぶつかってしまった。その内の一回は恥ずかしい事に電柱に激突してしまった。
テレビやマンガじゃないのだからそんなことありえないと寝ぼけた頭で考えても、激突した衝撃でできてしまった額のたんこぶがその事実を物語っている。
「さすがにここまでくるとまずいわ…」
必死に目を開けながら思った。
そして電車が来るとドアが開いた瞬間に一目散に空いている席へと滑り込んだ。