天国と地獄の境界線がなくなる前に僕はもっとやるべきことがあったのかもしれない
大通りに出たときには目を疑った。

あちこちで、いろんな人が天使にまとわりつかれながら走ってるじゃないか。身なりは小汚くて、みんなさえない奴ばかりだ。

その後ろを鬼が追う。

「なぁ? これ今流行ってるのか?」天使に問うが天使は笑っているばかりだ。

ネルシャツに、白いダンロップのスポーツシューズを履いてる男が鬼に捕まってギャーという悲鳴。TV画面やモニター越しではない生の衝撃に目をそらして、【逃げる】ということで頭がいっぱいになる。

身体が泡立ち、ひとりでに来た道を振りかえろうと身体は勝手にダッシュするとドンという衝撃とともに一瞬、目の前が真っ白になった。

鬼か、鬼とぶつかったかと意識を取り戻した時には、大柄でスエットを着た女が倒れている。

そして自分を追ってきた鬼がすぐ目の前にいた。

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