天国と地獄の境界線がなくなる前に僕はもっとやるべきことがあったのかもしれない
どうしょうもない人生だった。

同じ死ぬなら最後ぐらい女の人を守るために戦っても良かったんじゃないのか。

最後の最後に神様が用意してくれたかっこいい死に様イベントだったんだろうな。まぁ、みんなどうせ死ぬんだしと完全に自分の終わりを覚悟した時に、ブレーキで滑るけたたましいタイヤの音とエンジン音が鳴って「伏せろ!」なんて叫び声が聞こえた。

振り返ると、バイクにまたがって散弾銃をかまえた女がこちらに銃口を向けている。

ものすごい音と共にまた、ビシャビシャと何かが体にかかった。

「乗れ」という女の人に四つん這いで近づいていくと「いいから早く乗れ」とか急かされるが、体はビシャビシャだし、バイクがでかくてどうやって乗っていいのかわからない。

「これ、どうやって乗ればいいのですか?」


「後ろの、この棒に足かけるんだよ。乗ったことないのか?」

「こんな大きいやつには」

「いいからこれ持て」と散弾銃を手渡されるがこれも重たすぎて持つだけで精一杯だ。

ぐっと髪の毛を掴まれてバイクに引き寄せられビンタを喰らった。
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