天国と地獄の境界線がなくなる前に僕はもっとやるべきことがあったのかもしれない
自分の視界に自分以外の人がいるというすばらしい生活は、しばらく続いた。

とても居心地がよかった。退屈をした天使が提案をするまでは――


「こいつはどうだ?」

「いいよ。おもしろいよ。こいつ」

天使たちは集まって僕を見ながらにやにやしている。

「日本だけなら救えるかもしれない」

無視をした。かかわると鬼が現れる。その手には何回も乗らない。

「きぼうとぜつぼうのばらんす」

おちょくるような言い方でふわふわ飛び回り挑発してくる。とりあえずトイレに行くために、この場を離れることにした。もしここに鬼が出てきたら大変だ。

「にほんじんのおおくのひとがさきざきのふあんにぜつぼうした」

「そんなもん全部じゅみょうがあって、どっちみち死ぬのにな。わけがわからんよキミらは」

いろんな天使がゾロゾロとついてくる。そして思い思いの言葉を投げかけてくる。

「だけどさ、

そのぜつぼうが、いまをつくった」


「なら、希望でそれをくつがえすこともできる

つまり鬼に勝つことはできるということ」

勝てるわけがないだろう。あいつらお前らと一緒で死なないんだぜバカバカしい。


「おおくのひとがそれを望めばね」


でも、自衛隊の登場でみんなは希望を持ったさ。


「ほんとうかい?」


「どこかで、じえいたいなんか負けてしまえばいい」

「これ、じえいたい敗北でめしうまとか」

「そんなカスみたいなやつが多くいたのさ」

「そしてそんなカスみたいな奴らの念がさ」

「いまをつくったのな」

「あーあーコイツ無視だよ。おまえだよおまえ。おまえが強くじえいたいの負け望んでたんじゃないのかよ」

「なんだよ、ぜんぜんつまらない。だれだよコイツおもしろいとかいったの」

「なんとかしろよ! おまえ」なんて僕に最初からつきまとっていた天使がみんなからいじめられて、内輪揉めみたいなのをしてる。ざまぁみろ。

しかし、この騒ぎで鬼が現れやしないかと用を足しながら冷や冷やとしてるとやっぱり床からにゅーと鬼が出てきて、ちんちんを持ってない方の手でピストルを構え、鬼のこめかみ目がけて引き金を引いた。打ち抜いた瞬間だけは小便は止まった。

いそいで用を足していると


「そんなのつまんねぇんだよ。おまえが望んで出来たみたいな世界なんだよ、おまえでおとしまえつけてくれよ」


いじめられている天使が、もみくちゃにされながら俺の方を見て叫ぶ。

「じゃぁ、どうしろって言うんだよ! おまえらいつも笑って見てるだけじゃねぇか。面白いことしてやるから教えてくれよ!」

倒れている鬼に何発も撃ち込んだ。天使は「おもしろいことやるってよ」とざわざわとしだして、銃声で駆けつけた老人は天使としゃべりながら銃を撃ちまくってる僕を、驚いた顔して遠くから見ていた。




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