天国と地獄の境界線がなくなる前に僕はもっとやるべきことがあったのかもしれない
「おまえ天使としゃべれるのか?」

ずっと黙っていたことだが、老人の投げかけに今は返事はしなかった。

「いいか、おまえらのきぼうで鬼に勝つほうほうをおしえてやるじっこうするもしないもおまえらしだいだ」


「おまえらのカスみたいなちえをあつめて、じえいたいよりもつよいものをかんがえるのだな」


「あるとおもえばあるし、ないとおもったら、いまのままだ」



その日の夜に老人の提案で対鬼用人型ロボットを作る為のノートが一冊テーブルの上に増えることとなった。



名前はいろいろ考えたが最終的に“宇宙船地球号”というものに決まった。ガンダム世代とエバ世代との対立で、なかなかうまくいかなかったが、いいだしっぺである老人のゴリ押しと。そうそう。この建物内の老人率というのが異常に高いというのもある。年功序列というのが暗黙の了解的なルールで一番年上の高橋さんによる死んだ嫁さんの名前から命名されたヨネマークⅡという名前にあやうくなりかけたぐらいだ。

そして日本の希望の象徴としてアイドルグループの残り12人をあつめて人型の枠に入れて、巨大な人間のかたちにして、ロボットは完成した。

そのパイロットに、なぜだか選ばれる。

「僕に、こんなものが操縦できるわけないじゃないか」

全員の人から無視をされる。返事をすれば鬼が現れるからしかたない。

ノートにそのことを書くと五分おきにみんながうるさい、いいから黙って乗れとか小さい文字で罵られた。


しぶしぶ完成したもののちつの中から侵入して同化する。

全方位が認識できる。


ものすごい万能感だ。


体のあちこちにある12人24の瞳から360度見渡せる。


力がみなぎる。今いる日本中の人が自分に、このロボットに期待しているのを全身で感じる。負ける気がしない。勝てる。これなら鬼に勝てるかもしれない。

鬼をひちぎり躊躇なくぼりぼりと食べた。鬼よ、俺と共に生きろ、そうだ今まで人間はこうやってきた、これからもそうだ。

つぎつぎに鬼たちをパクパクとくらう。

いけいけ、宇宙船地球号! たたかえ宇宙船地球号!!

ぼくたちわたしたちのきぼうをのせて、鬼どもを喰らいつくせ!

そして、いつか見た球場サイズの鬼と対峙した。


もう逃げない。


大鬼に向かって全速力で駆け抜けて飛びついた。

希望と夢をのせて――


「いっけーーーー!」






ナマタ先生の次回作にご期待下さい。
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