天国と地獄の境界線がなくなる前に僕はもっとやるべきことがあったのかもしれない
 TVやなにかで見たままで、こういう時はこうするのだろうと考えうるいくつかの行動選択肢から、今の自分にふさわしいとされるものを選ぶだけの、“ありもの”を単純になぞっただけだ。オリジナルの感情による行動ではない。

 サラリーマンがひしめくカウンターの隙間でカルピスチューハイを飲んでいると、隣のサラリーマン2人は熱心に上司の悪口を言っていた。

 悪口の対象である上司という人物はどうも社長の弟らしく、この2人よりも若いのが気に食わないのだろう。

 そのような話をダラダラと聞いていると何がなんだか、どうでもよくなってきた。

 どうせ嫌だ嫌だなんていいながらも明日になれば呑気に出社して仕事をするのだろうし、へこへこと頭を下げるのだろう。

 それが社会に出るとか仕事をするというものなのだろう。バイトしかしたことがないけどお金をもらい続けるというのはそういう事なんだとも思う。

 実際、バイトは1日でやめたこともあるが、学生の本業である学校はそういうわけにはいかなかった。気に入らないことがあっても、愚痴は吐いても高校生であること続ける以上は最低でもある程度の出席して中間テストと期末テストにおいては、そこそこの点数をとることが仕事みたいなものだ。

 そう考えると大学といっても所詮は商売じゃないか、合格した奴らが様々な諸事情で大量に辞退すればとか考えるだけで、そうさ、今はアウトでもなんだかんだでセーフってなるような予感がビンビンしてくるじゃないか。酒の力というのはこういうものかとぐいぐいと飲んだ。

 いける。完全に落ちたわけではない。
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