天国と地獄の境界線がなくなる前に僕はもっとやるべきことがあったのかもしれない
 暫くして画面が切り替わり日本の自衛隊の偉そうな勲章を沢山着けた人がNHKに登場し、話した内容というものが鬼はバラバラにしてもくっつくし、超高温で焼いたとしても復元するというもの。その事実をデータとCGを交えて説明した。

 軍服を着た男は眉間にしわを寄せて、汗を流しながら恐ろしい説明を付け加えた。


 TVの男は言う。

「人類は鬼にはかなわないかもしれない。鬼1体を潰しても鬼1体として復元し、同時に2体潰せば質量が2倍の鬼として復元する。

……というのが、今回の作戦で得たくはなかった恐ろしい事実であり、鬼に対して我々は、我々は」

 TVの男は言葉につまり地面に額をこすりつけるようにして、意味のわからないことを何度も叫んで謝罪をした。

 自分は安全な場所にいて、地位も名誉もある人が頭を下げつづけている。

 映像は、町の様子に切り替わった。


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