タクシー運転手と俺
俺は、早めの勝負だと思い集中力を高めようとしたが、一緒に飲んでいた十九才の綺麗な脚が頭に浮かんで来てしまった。
頭を振りながら自動販売機に行くと一番大きな缶のスポーツドリンクを買った。
ガコンとスポーツドリンクが自動販売機の受け口に落ちてきた。
ここからは、演技力だと思い学芸会でやった柿の木の演技力を発揮した。
[運転手さん、ちょっとごめ~ん!ジュースが詰まってるみたいで取れないから本当悪いけど手伝ってよう。」
俺は、情けない声を出して頼んだ。
運転手は、仕方ねえなあと言いながら完全に油断して近づいて来た。
柿の木作戦成功!!
俺は、自動販売機の受け口の外に既に缶を出していた。
しっかり握った缶を中腰から運転手の横っ面めがけて思いきり振った。
ガキ!と鈍い音がして運転手は、後ろに倒れた。
俺は、もう一度缶を頭に叩き込んだが、缶がヘコンで中のドリンクが漏れた。