森の奥の沼の話【短編】
僕はね

ゆっくり立ち上がったんだ

僕の身体はまだ痛かった

一歩踏み出した時、痛みで思わず顔が歪んだ

すると母さんは僕の側までやって来てくれた


『もう少し早く助けてあげれば良かったんだけど…』


そう言いながら母さんは僕の手や足に、母さんの手をかざしてくれた

不思議な事に痛みが和らいでいく

と、同時に

写真でしか見たことのない母さんの声を初めて聞いたんだなと思った

とても優しい

そして、何故か聞いたことのある声だなって思った


< 11 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop