愛河なずなの恋愛論
恋愛論:1
春、
私は高校一年生になった。
1年C組の目の前に立つ。今日から私はこのクラス。高校でも、恋愛はしない。そう自分にいい聞かせてクラスに入った。
その瞬間、クラスメイトの視線が私に注がれる。
男子を中心にざわめきはじめる。
無視、無視!
私は気にしないで自分の席に座る。
毎年のことだ、男子が私を見てニヤニヤするのは。
そして、何人もが告白しにくるのだ。
自慢しているのではない、私は本気で迷惑している。
イライラしながらペン回しをはじめる。
馴れないペン回しはすぐに失敗して ペンはあらぬ方向にふっとぶ。
「あっ。」
斜め前に落ちる、
取りに行く手間のことを考えてまたイライラした。
「落ちてるよ、君のかな?」
それを、拾ったのは
かなりのイケメンだった。
長身で茶髪。つり目の整った顔は 柴犬のような無邪気さを漂わせていた。
「どうも。」
「どういたしまして〜、
あー、俺多分、君の隣かも! 凪原 陽斗です。よろしく〜」
「…よろしくお願いします。」
そっけなく返事をした、
こうゆう爽やかなやつほど中身は腹黒い。
警戒しなくては。
凪原陽斗との出会いはごく普通で、ここからはなんでもない顔見知り関係がはじまると思っていた。
だか、その予想はすぐに裏切られるのだ。
他の誰でもない、凪原陽斗によって。