君との甘い時間。~金髪ヤンキー×生徒会長な君~



戸惑う前に体は動いた。

明日香ちゃんの隣に座る。


出会ったときを思い出してふと思った。

普段は自信に満ち溢れていそうで凛としている彼女も、


弱いんだ。



不良に叫んだり注意したり

他の女子にぶたれたり何か言われたら、

怖いんだ。



「俺、金髪だけど、アクセサリーめっちゃつけてるけど…もう人を傷つけたくねーんだ」

絞りでた言葉はその程度のことだった。

結局は自分になってしまう。


すすり声は止まない。

すっと目の前に指輪が出た。


「ごめん。返す」


金髪で、ちゃらちゃらしていて。

目付きの悪い俺にきっとビビっただろう。

それでも彼女は自分は生徒会長だから。

自分は風紀委員長だから。


無理矢理自分を勇気づけて

無理矢理自分に行動させて

無理矢理自分に言い聞かせて


どうすればいいのかわからなかった。


受けとれば彼女はこれ以上傷つかないのか?

受け取らなければ彼女はこれ以上傷つかないのか?
< 10 / 52 >

この作品をシェア

pagetop