ハッピーエンドに憧れて
黙っていたら、久野くんが口を開く。
「ふーん、少女漫画ねぇ。そんなに面白いの?」
話題を変えてくれたので
あたしはほっと胸を撫で下ろした。
良かった。
人前で泣きたくないもん。
「うん、そうなのっ、特に樹さんがかっこよくてね」
「お前、こんなやつが好きなん?」
「うんっ!大人っぽい人いいよね。
あとこの台詞!きっと言われたら、絶対好きになりますっ」
「どれ?」
漫画を見た久野くんが
何かを考えるようにして、黙り込む。
「久野く、ん?」
どうしたんだろ…。
「『お前は俺だけ見てればいい…俺が絶対守るから』」