男子二人、女子一人。健全なる共同生活。
「……小笠原さんて、タバコ吸うんだ?」

自分の返事が間抜けなうえに思ったことをストレートに言い過ぎ、答えてから礼音は少し反省しました。

対して話しかけてきた小笠原清花は、長い黒髪をかきあげて、ニコリともせず応えました。

「ときどき、ね。吸うって言っても」
と、手にした細いタバコを見せ、
「ピアニッシモだけど」
と続けました。

かなり弱いタバコです。
パッケージもピンクやワインレッドや、いかにも女性向けを意識したタバコでした。

彼女は吸い終わったタバコを灰皿に押しつけると、礼音の横に並んでガラス張りの中に顎を向けました。

「君、彼のこと好きでしょ?」
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