男子二人、女子一人。健全なる共同生活。
「あ、うん、その」
礼音の応えを待たず、いや待つ必要を感じていないかのように、清花は優雅に身体の向きを変え、歩き出しました。

まるでお姫様です。他人の意見を聞く必要を感じていない、その様子が。

礼音が気づいたときには、ディオールのワンピースに身を包んだ清花の後ろ姿が建物の角を曲がって行くところでした。


……なんだったんだ?

礼音はタバコを胸ポケットにしまい、軽く頭を振りました。

 どちらかというと、ハンサムの方に入るらしいことは自覚しています。

 目鼻だちがくっきりしているせいで、顔が濃く見えないように、礼音は常に微笑みを浮かべるよう心がけてきました。

天然パーマの髪も、金色よりの茶色に染めて、服装も爽やかを心がけてきました。

それもこれも。
女子受けをよくするため。

なぜなら、礼音は。
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