効果
と、いうわけでお別れ会をして、町に残る彼と二人っきりでしんみりお話中。
「お前がいなくなると、カーコも、よっちーもはなえも抜けるってさ」
「何でーあの子達まだ遊べるのに、それに・・・女の子がいなくなるってこと?」
「ああ、この町のグループってもともと男女がつるむって珍しいんだよな、
カーリーが入るまで俺たち、中学生からの仲間同士男ばかりで遊んでたし」
ああ、むさくるしかったもんね・・・と初めて、彼のサークルに入った時のことを思い出す。
私が顔を出すようになり、みんなそこそこ、おしゃれをするようになったと聞く。
優しくなったと、親に言われた、キショイーと叫んでる奴も居た。
「実際、なんだかみんな丸くなってきたぜ」
彼が、言って爆笑した。
*
田舎町の不良グループだけど危ないこともそこそこするし、女の子がのこのこ入れるものではない。
だが私は彼のサークルのふらふらと近寄って行った。
彼に一目ぼれしたのだ。
彼に近づきたい気持ちで、ヤケもあった。
彼らのグループもそれなりに悪だったが女の子に乱暴なことをする気になる子はいなかった。
そして、彼らは私みたいな「普通の女の子」がたまり場に来るのを、訝りながら信頼してくれているからと思い、
少し照れながらも受け入れてくれた。
***
「カーリーとの遠距離恋愛、耐えられるかね」
彼が、すでに、進学を決めた一年前の言い合いの文句の出だしを久々に口にする。
一年前に言い合って、そして二人で納得し決めたことだ、
遠距離恋愛は駄目になると、頭から決めてかかる人が多い、でも、叶えた人たちもいる。
兎に角「待つ」
「思い続ける」と、
*
私の親が、
「あいつと付き合いたいならば、その根性を見せろ」と、突きつけた課題なのだ。
そう、彼が好きなことをちゃんと見せたら、今後協力してやるといわれて、乗ったのだ。
彼も、負けん気が強い性格だったので、この話に受けて立つと言ったのだ。
言ったものの、遠距離は、実際辛い、
彼は仕事の勉強関係で二年後までは身動きできないし・・・・。
*
私が何も答えないでいると彼は話題を変えた。
「なぁ、なんで俺らのグループにのこのこ入ってこれたん?」
「え、それは」
彼には、私が元から下心があって近づいたことは告白している。
「いや、当時、俺たちギラギラしてたろう、実は女の子にいゃんなこともするかも、だったんだぜ」
「・・・・変なことされたら死ぬ気だったけどね」
恋は盲目というか、兎に角彼に近づきたい、だけど別な奴に乱暴されたくない、
彼はいい人だけど他の人はどうか解らない・・・というより、彼に乱暴されれば本望だった、とか。
馬鹿な思考だって解っていた、しかし抑えられなかった。
「死ぬってそんな簡単に」
彼が目を剥いて言うのに、私はいつも首にかけているお守り袋を取り出した。
「ほら、中のオブラートに青酸カリをいつも入れているの、
大事なものを護って、いつでも死ねる準備をして、命がけでやっていたの」
彼はあきれたように私を見て、恐る恐るオブラートをめくる。
「青酸カリなんて、どこで手に入れたんだよ」
「幼稚園の時に、曾おばあちゃんからもらったの。
曾おばあちゃんは戦争の時、町に来た軍の兵隊さんに貰ったんだって、
敵に捕まりそうになったら、飲んで自殺するようにって若い女性に配ってたんだってさ」
「どひゃーそんなことあったんだ?」
「うん、なんしかね、そういうのってみんな口を噤んだまま歴史に抹殺されるよね。
後ろ暗いこと関係の命令は全部口頭で済まされたんだって、
赤紙やらは確かに残ったけどね」
「・・・・ほんまもんやったんか・・・」
「ぇ・・・・」
彼の一呼吸置いての呟きが理解できず顔を彼に向けたとき、
なんと言うこと、彼がオブラートに包まれていた粉を舐めたのだ。
「お前がいなくなると、カーコも、よっちーもはなえも抜けるってさ」
「何でーあの子達まだ遊べるのに、それに・・・女の子がいなくなるってこと?」
「ああ、この町のグループってもともと男女がつるむって珍しいんだよな、
カーリーが入るまで俺たち、中学生からの仲間同士男ばかりで遊んでたし」
ああ、むさくるしかったもんね・・・と初めて、彼のサークルに入った時のことを思い出す。
私が顔を出すようになり、みんなそこそこ、おしゃれをするようになったと聞く。
優しくなったと、親に言われた、キショイーと叫んでる奴も居た。
「実際、なんだかみんな丸くなってきたぜ」
彼が、言って爆笑した。
*
田舎町の不良グループだけど危ないこともそこそこするし、女の子がのこのこ入れるものではない。
だが私は彼のサークルのふらふらと近寄って行った。
彼に一目ぼれしたのだ。
彼に近づきたい気持ちで、ヤケもあった。
彼らのグループもそれなりに悪だったが女の子に乱暴なことをする気になる子はいなかった。
そして、彼らは私みたいな「普通の女の子」がたまり場に来るのを、訝りながら信頼してくれているからと思い、
少し照れながらも受け入れてくれた。
***
「カーリーとの遠距離恋愛、耐えられるかね」
彼が、すでに、進学を決めた一年前の言い合いの文句の出だしを久々に口にする。
一年前に言い合って、そして二人で納得し決めたことだ、
遠距離恋愛は駄目になると、頭から決めてかかる人が多い、でも、叶えた人たちもいる。
兎に角「待つ」
「思い続ける」と、
*
私の親が、
「あいつと付き合いたいならば、その根性を見せろ」と、突きつけた課題なのだ。
そう、彼が好きなことをちゃんと見せたら、今後協力してやるといわれて、乗ったのだ。
彼も、負けん気が強い性格だったので、この話に受けて立つと言ったのだ。
言ったものの、遠距離は、実際辛い、
彼は仕事の勉強関係で二年後までは身動きできないし・・・・。
*
私が何も答えないでいると彼は話題を変えた。
「なぁ、なんで俺らのグループにのこのこ入ってこれたん?」
「え、それは」
彼には、私が元から下心があって近づいたことは告白している。
「いや、当時、俺たちギラギラしてたろう、実は女の子にいゃんなこともするかも、だったんだぜ」
「・・・・変なことされたら死ぬ気だったけどね」
恋は盲目というか、兎に角彼に近づきたい、だけど別な奴に乱暴されたくない、
彼はいい人だけど他の人はどうか解らない・・・というより、彼に乱暴されれば本望だった、とか。
馬鹿な思考だって解っていた、しかし抑えられなかった。
「死ぬってそんな簡単に」
彼が目を剥いて言うのに、私はいつも首にかけているお守り袋を取り出した。
「ほら、中のオブラートに青酸カリをいつも入れているの、
大事なものを護って、いつでも死ねる準備をして、命がけでやっていたの」
彼はあきれたように私を見て、恐る恐るオブラートをめくる。
「青酸カリなんて、どこで手に入れたんだよ」
「幼稚園の時に、曾おばあちゃんからもらったの。
曾おばあちゃんは戦争の時、町に来た軍の兵隊さんに貰ったんだって、
敵に捕まりそうになったら、飲んで自殺するようにって若い女性に配ってたんだってさ」
「どひゃーそんなことあったんだ?」
「うん、なんしかね、そういうのってみんな口を噤んだまま歴史に抹殺されるよね。
後ろ暗いこと関係の命令は全部口頭で済まされたんだって、
赤紙やらは確かに残ったけどね」
「・・・・ほんまもんやったんか・・・」
「ぇ・・・・」
彼の一呼吸置いての呟きが理解できず顔を彼に向けたとき、
なんと言うこと、彼がオブラートに包まれていた粉を舐めたのだ。