青空バスケ―another story―

「クラスメートにも……全然知らない人にもそう言われんの。
……そこまで言われたらさ、絶対ミスっちゃいけないとか……そう思い始めて。
そしたら、普段の練習でも変に神経を使いすぎて……」

「……………………」

「……気づいたら、シュートが打てなくなった」


外しちゃいけない。

絶対に。


そう思えば思うほど……ボールは全然違うところへと飛んでいった。


「……俺は弱い。
みんなが思ってるほど……強い人間じゃない」


はぁ……と息を吐いた。


……すると、今まで隣に座ってじっと聞いていた七海が立ち上がった。


「七海……?」


無言で俺の前に立つと……七海はそのまま俺を抱きしめた。


「っ…………!!」

「……辛かったでしょ」

「え………?」

「プレッシャーの中で……バスケをすること。
……辛かったでしょ」

「七海………」


七海の温もりが……芯まで冷たくなった俺の心をじんわりと温めた。

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