青空バスケ―another story―
誰もいなくなった廊下に残された……あたし達二人。
「……あの、ハル君」
「ん……?」
「怒ってる……?」
あたしがそう聞くと、ハル君は一瞬きょとんとした後、いつもの優しい笑顔を見せた。
「まぁ……怒ってるかな」
「やっぱり……」
「でも、七海にじゃなくて……俺に」
「え………?」
どういう意味……?
あたしが首を傾げると、ハル君は優しく頭を撫でてくれた。
「俺……分かった。
どれだけ自分が余裕ないかって」
「余裕……?」
「……七海がアイツに連れられていったとき……ちょっと妬いた」
「ハル君……」
「頭では大丈夫って分かっててもさ……どこか少し不安で」
ハル君がそっとあたしを抱き寄せた。
……そのまま耳元で呟く。
「……七海の気持ち、ちょっと分かったかも」