青空バスケ―another story―

誰もいなくなった廊下に残された……あたし達二人。


「……あの、ハル君」

「ん……?」

「怒ってる……?」


あたしがそう聞くと、ハル君は一瞬きょとんとした後、いつもの優しい笑顔を見せた。


「まぁ……怒ってるかな」

「やっぱり……」

「でも、七海にじゃなくて……俺に」

「え………?」


どういう意味……?

あたしが首を傾げると、ハル君は優しく頭を撫でてくれた。


「俺……分かった。
どれだけ自分が余裕ないかって」

「余裕……?」

「……七海がアイツに連れられていったとき……ちょっと妬いた」

「ハル君……」

「頭では大丈夫って分かっててもさ……どこか少し不安で」


ハル君がそっとあたしを抱き寄せた。

……そのまま耳元で呟く。


「……七海の気持ち、ちょっと分かったかも」


< 121 / 300 >

この作品をシェア

pagetop