青空バスケ―another story―

「ただいま~……」


その日。

家に帰ると、トタトタ!という小さな足音が聞こえた。


「ハル君おかえり!」


……チワワが飛びついてきた。


……え?幻覚?


「……栞奈?」

「なーに?」

「陽斗、ちょっと……」


母さんに手招きで呼ばれた。

何だ……?


「栞奈ちゃん、宿題終わったの?」

「あ、もうちょっとだった!」


机に向かう栞奈を見てから、母さんは俺をリビングから出した。


「迎え、まだ来てないの?」

「それが………」


栞奈には北海道に入院中のおじいちゃんがいるらしい。

どうやら今朝、そのおじいちゃんの容態が急変して危ない状況らしい。

おばあちゃんだけだと色々と大変だから容態が安定するまでそばにいることになった、というわけ。


「栞奈ちゃんのお父さんがウチに悪いからって一回戻ってこようとしてたんだけどね。
ウチは陽斗がいるから大丈夫ですよって言っておいたわ」

「え……俺?」

「頑張ってね、お兄ちゃん」


お兄ちゃん……。

俺が……。


「でも、母さんも親父も……明日から二日間いないんじゃなかったか?」

「だから、陽斗がいるから大丈夫ですよって言ったんじゃない」


……つまりは俺一人で面倒を見ろと。

別にいいけど……何となく不安だ。



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