青空バスケ―another story―

……その日の夜のことだった。

あたしは洗い物を片付けて、ソファで一息ついていた。


お風呂場から海里とお父さんの楽しそうな声が聞こえてきた。


……そのとき。あたしのケータイが鳴り出した。


「ハル君……?」


珍しい……電話なんて。

いつもはメールだから……。


「もしもし」

《もしもし!?七海!?》

「そうだけど……どうしたの?」


電話口のハル君はとても焦っていた。


《子供が熱出したんだけど……どうしたらいい!?》

「子供?」


何で子供……?


「今何度?
とりあえず冷やして……」


ハル君に指示しながら、あたしはコートを着込む。


「あたしも今からそっち行くから。
……うん。落ち着いてね」


マフラーを巻いて電話を切り、お風呂場にいるお父さんに声をかけた。


「お父さん、ちょっと出掛けてくるね!」


そのままあたしは家を飛び出した。

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