青空バスケ―another story―


すやすやと眠る女の子。

薬が効いてきたみたいで、少し落ち着いた。


「……よかった。
ありがとう、七海」

「いえいえ。
明日、病院に連れていってあげて」

「……明日、どうしようかな。
学校休むか……」

「どこかアテはないの?」

「んー………」


ハル君が頭を捻って考えていた……その時だった。


「……ハル……君?」

「栞奈」


うっすらと目を開けた栞奈ちゃん。

ハル君がそばに寄って、栞奈ちゃんの頭を優しく撫でた。


「おじいちゃん……大丈夫……?」

「大丈夫だよ。
今、栞奈のお父さんとお母さんがそばにいるから」

「……どこにも……行かないで……」


栞奈ちゃんはハル君の人差し指をキュッと握ると、また目を閉じて眠り始めた。


ハル君は栞奈ちゃんに指を握られたまま、栞奈ちゃんの布団をかけ直してあげていた。


「おじいちゃんって……?」

「栞奈のおじいちゃん……容態が急変して危ない状況らしい」

「え………」

「……不安なんだよな、きっと。
両親もいないし……。
ずっと笑顔だったけどさ……俺、忘れてた」


栞奈は寂しがりやの甘えん坊だから。


そう言ったハル君の顔は本当のお兄ちゃんみたいだった。

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