青空バスケ―another story―

あたし達はいつものベンチに座って桜を眺めた。

綺麗……。


「クリスマスだっけ……約束したの。
もうあれから三ヶ月以上経ったんだね」

「早かったな。
俺達も三年生だし」

「このままあっという間に大学生になっちゃうのかなぁ……」


そして大人になって就職して……。

うーん……これからの人生はあっという間に過ぎていきそうだ……。


「俺も来年の今頃はきっとバイト三昧なんだろうな~……」

「バスケは?」

「バスケは今年でやめるよ。
元からそのつもりだったし」

「え………」


やめちゃうんだ……。

あんなに楽しそうにバスケしてたのに……。


ハル君はそっとあたしの頭に手を置いた。


「バスケは今でも好きだよ。
だけど、それで食べていけるほど上手くないし。
何か……最近はさ、現実的に考えるようになってきたっていうか……」

「進路も決めなきゃいけないしね……。
小さい頃みたいに好きなことだけやって過ごしていくなんて……できないもんね」


それが現実。

一つ学年が上がる度に、嫌でも考えさせられるようになる。

子供の頃は遠い存在だった将来の自分が……もうすぐそこまで近づいてきている。

昔は何にでも好きなものになれた自分が……少しずつ枠を作っていく。

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