青空バスケ―another story―

その日の夕方。

あたしは海里の宿題を見てあげながら夕飯を作っていた。


「………ただいま」

「おかえりなさい」

「パパ!おかえり!」


……お父さんの様子がいつもと違った。

何か……おかしい。


「七海。
一段落したらそこに座りなさい」

「あ……うん」


お父さんにそう言われ、あたしは火を止めてソファに座った。

お父さんがあたしの向かいに座る。


何だろ………。


「……七海。大事な話がある」

「うん………何?」


チクチク……と時計の針の動く音だけが聞こえる。

お父さんが小さく息を吐いてから、意を決したようにあたしの方を見た。


「お父さんな………転勤になった」


………え?

転……勤?


「二週間後には日本を発つ」

「えっ……日本って……どこに行くの?」

「………パリだ」


パリ………。

フランス……。

ヨーロッパ……。


二週間後にはパリに行くの……?


……ついていけない。

頭が混乱してる……。


「七海………」


ウソでしょ……?


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