青空バスケ―another story―

次の日。

あたしはいつものようにはしゃぐイッ君とそれに冷たい対応をする萌りんを見ながら小さくため息をついていた。


パリに行ったら……こんな当たり前の日常がなくなっちゃう。

みんなと離れ離れになっちゃう……。


「……七海?」

「へ……?」

「ボーッとしてるけど……大丈夫?」

「う、うん!大丈夫だよ!」


ダメダメ……こんな暗い顔してちゃ。

萌りんは何かを探るようにあたしの目をじっと見てきた。


「萌りん……?」

「七海。
今日は屋上でお昼食べよっか」

「え……?」

「香織も誘って。ね?」

「……うん」


萌りん……何かに気づいた?

そんなにあたし変だった……?


萌りんは一度あたしに微笑みかけると、またイッ君の方を見た。


「アンタはいつまで騒いでんのよ」

「えー!騒いでないよ!!」

「一々声がデカいのよ」

「またまた~、そんなこと言っちゃって」

「……ムカつくわね、コイツ」


こんないつもの日常が……今のあたしには遠く感じた。


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