青空バスケ―another story―
でも……次の日も、その次の日になっても……あたしはハル君に言うことはできなかった。
何でかは……分からない。
怖かったのかもしれない。
お父さんから転勤のことを聞かされて三日が経った日のこと。
あたしは香織に用事があってハル君のクラスに来ていた。
……だけど、教室を見回しても香織がいない。
どこ行ったんたろ……。
「伊沢」
「あ、風見君」
「久しぶり。どうした?」
「香織探してるんだけど……」
「あぁ、松山ならさっき友達と出ていったけど」
「そっか。ありがとう」
じゃあ、また後で来ようかな……。
「ありがとう、風見君」
「あ、伊沢」
お礼を言って去ろうとしたあたしを風見君が引き止めた。
「な……陽斗と何かあった?」
「え…………」
「アイツ、最近ちょっと元気なくてさ。
伊沢と連絡取れないって言ってたけど……」
「あ……うん」
最近はハル君からのメールも電話も無視してる。
ハル君は何も悪くないのに……。